baker「ようやく自分のベースを作り始めてる」

しげる でもまあ、なんだかんだ楽しいから続けてるってのはあるんじゃないですか? 音楽だなんだって言いながら。

baker 客観的みたら今、僕は音楽で食ってるって状況ですよね。

しげる そうでしょうね、少なからず。

baker 社会の底辺からそこまで来ましたと。でも、結局感覚は変わんないんですよね。一日を食いつないでいってるという点では。 収入は安定しなければ、将来の退職金とかもらえるわけではないし、会社が面倒みてくれるって保証もないし、自分で確定申告しなきゃいけないし。 感覚的には本当に変わってなくて。でもそれは、作品にいい方向で出ると思ってるんで。

しげる おー。

baker 音楽の中身に関わってくる部分だと思うんですけど。

しげる 逃げ場を自分で無くす、っていうようなところですか?

baker うーん、逃げ場は別につくってもいいんですけど、ネガティブなことを歌う人って今いないじゃないですか。

しげる はいはい。

baker 僕みたいな歌詞を、たとえば2000年代とか90年代後半に書いていても批判されてただけだと思うんですよ。 共感できる人が少なくて。今は、わりとそういう部分の共感って多いと思うんです。人の不幸大好き、って人も増えてるかもしんないし。

しげる 俺は上からこの曲聴いてんぜ、お前ら大変だな、みたいな。

baker まあそれはムカつくんですけど。自分のできることしかやってないです。結局、たとえば作詞だったら自分はそういう作詞しかできないんで。 自分のことを書くとどうしてもネガティブなところばっかりだけど、逆にそこが身近に感じてもらえて今の自分があると思うんで、そこは自分の曲として発表するときは徹底してやってます。

しげる 「ネガティブであれ」みたいな感じですか。

baker うーん、まああんまり作ってて楽しいもんではないですよ、正直。

しげる w

baker いやもう音楽に対して、好きとか嫌いとか楽しいとか、そういう次元じゃないんですよ、 むしろやっぱり嫌いのほうで、今は。でも、だからやめるとかやるとかそういうことじゃなくて。

しげる はい。

baker 子供産むときってメチャメチャ痛いとか言いますよね。産んだらスッキリするとか満足感とか子供がすごい可愛いとかあるけど、 みんなその、産むときの「痛み」を楽しんでるわけではない。それと似たようなことで、だから、作るときは僕だって痛いんですよ。その後に何があるかってだけなんで。

しげる そうですよね、bakerさんの場合ライブとかの過程ではなくて「はい自作曲です、どん!」 っていう作品発表のやり方はやっぱり「産む」という行為そのものですもんね。

baker 過程を楽しむとかいうのはもうやっちゃったんで。 今も、新しい機材を買ったときはすごくワクワクするし、楽しいんですけど。「作る」っていうのはそことは違うところで主に考えてるので。

しげる 「作品を出す」「発表する」ってところのみで。

baker この曲で何が言いたいのかとか、この歌詞を乗せたときになんでこのコードで、 なんでこのギターフレーズなのかっていうところをちゃんと説明できるように考えてて。

しげる それは感覚的に「楽しい」っていうのとはちょっと違いますね。

baker なんかあっちが出たらこっちがへこむの繰り返しだし。

しげる 調整して調整して。

baker で結局、自分自身が平凡な人間なので、変な音をひとつ入れるにしても合わないんですよね。

しげる 自分と合わない部分は排除しちゃう?

baker 例を上げるとしたらAphex Twinとか、あの人は多分狂ってるからああいう音でやれるんですよね。 普通の人じゃない行動とか考え方をしているから、あれができて、浸透してるってのがあると思うんですけど。あのやり方、 あの音を模倣してるだけの人っていうのは、やっぱりわかっちゃうんですよね。

しげる Aphex Twinがここまでやってるから、ここまで狂ったようにしていいんだ、やっていいんだ、という。 「狂う」っていうのが本来の意味から外れて。

baker そう、なんか「演じてる」みたいな。演じ切れてもいないっていうのはすぐわかる。で、僕もAphex Twinのようになりたいとか、 そういったものを作りたいっていう時期はあったし、形だけなら真似もできるんですけど、彼のようには、まだできないなあって思います。

しげる それはあくまで、「まだ」できない?

baker まだできない、と思っときます。色々経験した上で「できるようになる!」と。 諦めたらそこで試合終了なので、まずはやんなきゃいけないことがあって。それがやりたいことかやりたくないことかは別として、そういったことをまずやって、それからって感じですかねえ。

しげる しっかり演じきった上で、じゃあ自分ってなんだろうってところに帰るというか、 逆に進むというか。そういったプロセスの方がbakerさんには自分で合ってると思うし、そうしていきたい、という。

baker 20代も後半、終わりごろにしてようやく自分のベースを作り始めてるって感じですかね。

しげる「いやあいつの話はいいんですよ!」

しげる なるほど。……楽しみにしてますw

baker 本当に楽しみなのかい?w

しげる いや僕はbakerファンの一員なので。

baker うわ、出たよーw 僕はまずそういうところを疑ってかかる人間なんで。 そういう音楽しかできないんですよね。僕がそこで「フフっ、もっと褒めなさいよ!」ってヤツならそういう音楽を作るんですけどw

しげる 「ほらよ、こんなん作ってやったぜ?」っていう。

baker 目も合わさず「こんなん作りましたけどよかったら……」みたいな感じです。それはまあ、KNOTSさんとも似たようなところで。

KNOTS
KNOTS

しげる うわ出た。でもあの人はどっかで「見て見て!」な部分はあると思いますけど。

baker そこがまあ僕よりちょっと強いのかな、とは思いますw

しげる w

baker でも「よかったら……」って姿勢は貫くでしょ。

しげる 確かに、気持ち悪いくらい謙虚。……謙虚なのかなああれ。むしろ失礼なんじゃないかって思うときもあるんですけど。

baker 前に初対面で対バンしたときに、近い種類の人だっていうのはあったんで。そのときは周りが「俺を見ろ俺を見ろ」な人たちばっかりだったんで。

しげる うわー。

baker 「俺を見ろ金よこせ」みたいなw 「女抱かせろ」とか。そういうのにはなれないし、 なる気もない二人が、ぽつんと廊下で「キッズステーション観たいっすね」とかいう出会いでしたよ。「あ、先月のコミックビームなんすけど」みたいな。

しげる 「あ!いた!」みたいな感じですよねえ。

baker でも、結局その後事務所とケンカしちゃったりして、もうKNOTSさんとも会うことはないかなあって感じだったんですけど。

しげる すごい運命的だったんですね、彼との再会は。……いやあいつの話はいいんですよ! bakerとは何ぞやって話だったんですよ。そういえば。

baker そういえばね。

しげる まあでもボチボチ締めさせてもらいたいんですけど。今後の話はちょっと、もう出ちゃったし。 えーとじゃあ、僕に言いたいことあったら言ってください。ちょっと正座しますんで。「お前さあ」みたいな感じで言ってください。

baker お前…… スゲエよな。

しげる ありがとうございました。

むらた 最後にインタビュアーが褒められて終わり?w

baker こども店長みたい。